診療所の所在地変更
現在、医療法人で開設している診療所を移転して開設しようとする場合、法人の定款の中で診療所の所在場所を規定していますので、医療法第54条の9第3項の規定により移転する前に定款変更認可申請を行う必要があります。また本院の診療所移転の場合、医療法人の主たる事務所も大体、本院の診療所所在地が主たる事務所の所在地と一緒になっていると思いますので、併せて定款変更認可申請を行うことになります。
【医療法第54条の9第3項】定款の変更は、都道県知事の認可を受けなければ、その効力を生じない。
移転前には、あらかじめ地域医師会へ「今度ここに診療所を移転しようと思います。」という事前相談が必要な場合がありますので、各地域医師会へ確認ください。
診療所を新築して移転される場合
- 定款変更認可申請をいつの段階でしたらいいのでしょうか。
ある程度、工事も進み新しい診療所で開院できる目途がたってからでも十分です。一般的に、定款変更認可申請も設立認可のときと同様に事前協議を行い、正式申請をする流れなっています。事前協議を、おおよそ開院予定の2~3ヶ月前ぐらいから行っています。
- 定款変更認可申請(事前協議)において必要となる書類は以下の通りです。
- 定款変更認可申請書
- 変更理由書
- 新旧条文対照表
- 臨時社員総会議事録
- 理事会議事録
- 定款(原本証明)
- 新しい定款案
- 社員役員名簿…事前協議のみ
- 管理者履歴書…管理者が変わる場合
- 管理者就任承諾書…同上
- 開設しようとする診療所の概要
- 案内図
- 公図写し
- 配置図
- 建築確認申請書
- 工事請負契約書
- 平面図
- 医師免許証写し
- 登記事項等証明書(土地)
- 土地賃貸借契約書
- 賃料算定基礎資料
- 事業計画書
- 開設後2年間の収支計画書
- 減価償却計算書
- 直近決算書
- 見積書(新たに医療機器等を購入する場合)
- 銀行借入をする場合、予定返済計算書
※財産目録、財産目録明細書、負債内訳書等が必要となるところもありますので、申請をする行政窓口に確認が必要です。
事前協議が終了しましたら、臨時社員総会を開催し、正式申請を行っていきます。
定款変更認可書が下りた後の手続きについて
変更認可の認可書が下りた後は、理事会を開催し、主たる事務所、診療所移転の日を決議し、登記手続きを行っていきます。
その後、以下の書類申請を行っていきます。
- 開設許可申請
- 使用許可申請…有床診療所の場合
- 開設届、廃止届
- X線設置届、廃止届
- 残余麻薬届、残余麻薬譲渡届…麻薬金庫がある診療所の場合
- 保険医療機関指定申請…原則開設日の属する月の15日までに申請(遡及あり)
- 各種変更届…生活保護法医療機関指定、結核医療機関、被爆医療機関指定など
- 特別管理産業廃棄物管理責任者廃止報告書
- 特別管理産業廃棄物管理責任者設置報告書
保険診療指定の遡及措置について
保険医療機関の移転が至近に移転の場合、旧診療所の廃止日と新診療所の開設日に、空白の日がなければ、遡及申請を行うことで、わざわざ新診療所の開設日を月始めの1日にする必要はありません。保険医療機関指定番号は、変わりませんので、特に診療報酬請求をするなどの事務的な不都合は生じえません。
※なお、遡及申請できる至近に移転とは、どれくらいの距離をいうでしょうか。
移転後も受診していた患者等が継続して受けられるとする距離として概ね2km圏内と言われていますが、2kmを超える場合でも認められるケースがあります。